どのような場面で、どのタイミングで、どんな水を飲むか? ベストな水の飲み方を心がければ、うるおいのある生活が送れます。
【運動編】
失われた水分をこまめに補給する!
新陳代謝を高めて健康増進につながる運動ですが、汗をかけば水分が減ります。運動をするときはしっかりと水分を補い、脱水を予防することが大切です。運動前、運動中、運動後のこまめな水分補給に努め、汗とともに流出するミネラルにも気を配りましょう。
運動前はアルカリ性の軟水で水分補給!
汗をたくさんかいて体から水分が失われると、血液がドロドロになる危険性があります。それを防ぐために、あらかじめコップ1杯のミネラルウォーターを飲んで水分を補給しましょう。運動をすると体が酸性に傾きやすくなるので、アルカリ性の軟水が効果的です。新陳代謝を促す作用もあります。
運動中は電解質を補うスポーツドリンクを!
アルカリ性の軟水をいつでも飲めるように準備しておき、のどの渇きを感じる前に、少しずつ水分補給を行いましょう。汗を多くかくと、ナトリウム、カリウムなどの電解質も失われるので、体液とほぼ同じ電解質濃度でつくられているスポーツドリンクを飲みましょう。
運動後は水分補給で電解質の補てんと疲労回復を!
運動後の水分補給は忘れずに行いましょう。中硬水、スポーツドリンクなどで、汗と一緒に失った電解質を補います。疲労回復には炭酸水がおすすめ。疲労の原因物質である乳酸をいち早く中和し、回復に導きます。
【熱中症対策編】
体液の成分に近いスポーツドリンクが効果的!
熱中症や脱水状態のときに「真水」を飲んではいけません。そもそも熱中症のときに真水を飲もうとしても体が受けつけません。熱中症で細胞が水分を失うと細胞内液が塩分過多の状態になります。そこに真水を補うと細胞の中と外の浸透圧の差が大きくなってしまうため、脳が「これ以上水を飲むな」と指令を出すのです。しかし、水分を補給しなければ血液がどんどん濃くなり、体温はさらに上昇してしまいます。特に体の調整機能が低下するシエア世代は要注意です。
熱中症のときは体液中に含まれているナトリウム、カリウム、マグネシウムなどの電解質も欠乏しています。これらを効率的に補うのが体液の成分に近いスポーツドリンクで、細胞内の塩分濃度を正常に戻すことにより、脱水状態からの回復を早めます。ただし、スポーツドリンクを日常的に飲むと糖尿病の原因になります。スポーツをしていないときは飲みすぎないようにしましよう。水12に対して、塩小さじ%(3g)、砂糖大さじ4%弱(40g)、お好みでレモン汁適量を入れてよく混ぜる経口補水液はスポーツドリンクの代わりになります。冷蔵庫で保存し、1日で飲みきりましよう。
失われた電解質の摂取が回復を早める。
脱水状態で体から失われるのは水分だけではありません。体液中に含まれるナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムといった電解質も失われているのです。そのため、真水を飲んでもなかなか回復しませんが、電解質を含む水を飲むことで回復が早まります。
【入浴編】
水を飲んで体を温めれば、よりいっそう代謝アップ!
体が温まると皮膚の毛細血管が広がります。血管にお湯の圧力が加わると手足に滞った血液が心臓に押し戻されます。これらの作用により、お風呂に入ると血行が良くなります。血液によって栄養、酸素、水分が届けられた全身の細胞は活性化し、新陳代謝が進みます。また、発汗が促されると老廃物の排出もスムーズになります。
こうした入浴の健康効果をより高めるために「水飲み健康法」をとり入れましょう。水を飲むと代謝が促進されますが、体を温めることにより、その働きを強めるのがポイントです。
入浴前には発汗を促すため水をコップ1杯を
入浴による代謝を上げ、発汗を促すために、コップ1杯のミネラルウォーターを飲みましょう。ここでは好みの水でかまいません。
入浴中は汗をかいたらちびちび水を飲む
38℃くらいのぬるま湯に腰までつかり、汗をかいたら、あらかじめ用意しておいた冷えた水を、ひと口ずつちびちび飲みます。それにより発汗作用が高まり、汗と一緒に老廃物も流されます。ただし、お湯の温度は上げすぎず、長風呂もNGです。
入浴後はその日の気分で水を楽しむ
お風呂から上がったら、のどごしの良い冷たい水で水分補給をお忘れなく。体にやさしい軟水やさっぱりした気分にしてくれる炭酸水がおすすめです。毎日欠かさず入浴する人は、さまざまな水にトライすれば、入浴の水飲みにも飽きがこないでしょう。
【飛行機編】
中硬水、炭酸水を搭乗前、搭乗後に摂取
血行不良で血栓ができる「エコノミークラス症候群」(静脈血栓療機症)を引き起こすきっかけとなるのは、長時間座りっばなしの姿勢とともに水分不足です。飛行機に乗る前には必ず水をコップー杯(約150ミリリットル)程度飲み、搭乗後は絶えずちびちび飲みましよう。おすすめの水は中硬水、血流を促進する炭酸水です。エコノミークラス症侯群は長距離バス、デスクワーク、長時間の会議、映画館などでも発症する危険性があります。定期的に体を動かし、水分補給を忘れないようにしましょう。
飛行機に乗らなくても起こるエコノミークラス症候群とは?
飛行機のエコノミークラスのような狭い場所に長時間座っていて脚を動かさないと、血行不良が起こり血液が固まりやすくなります。その結果、血の固まり(血栓)が血管の中を流れ、脚のむくみや痛みが出てきたり、重症になると呼吸困難や胸の痛み、失神があり、最悪の場合、突然死を引き起こすこともあります。
【飲酒編】
アルコールの副作用を抑える「乾杯前」「締め」の1杯
体をいたわって上手にお酒を飲むためには水が欠かせません。それはアルコールがもつ2つの作用に対抗するためです。1つは「利尿作用」です。特にビールはその作用が強く、飲むほどにトイレの回数が増えて体内の水分を失います。
もう1つは「脱水作用」です。アルコールを代謝する際は大量の水が消費されます。お酒を飲みすぎた翌朝に顔がむくむのは、脱水の影響で新陳代謝が悪くなり、本来なら水分が排出する老廃物が溜まっているためです。
お酒を飲みすぎて体内の水分量が減ったまま翌朝を迎えると、二日酔いになります。有害物質のアセトアルデヒドが血液中に残るからで、吐き気、ほてり、のどの渇きなどが典型的な症状です。お酒を飲むときは「乾杯の前の1杯」として水を飲みましよう。飲酒によって失われる水分をあらかじめ補給しておくのです。「締めの1杯」を水にすることも忘れずに。水の解毒作用によってアセトアルデヒドを排出し、二日酔いを防ぎます。
飲酒前と飲酒後は体に吸収されやすい軟水がおすすめです。また、飲酒中に水を飲めば酒量を減らすことができます。