水は飲み方によって、体に与える効果が変わってきます。お水の飲み方の効果を上げるには、正しい飲み方に加え、シーンに応じた飲み方を実践する必要もあります。この章では飲み方のコツを紹介します。
こんな症状が現れたら要注意!体の不調や病気の大元に水不足と滞りあり!
体内の水分が不足したり、体の中をめぐる水分の流れが滞ると、体にさまざまな不調のサインが現れます。人間の生命を維持する役割を果たす水分の異常は、生命の危機にもつながりかねません。
摂取する水分よりも出ていく水分のほうが多いと、体は脱水状態になり、さまざまな症状が現れ、最悪の場合、死に至ることも。
| 水分損失率(対水分) | 脱水諸症状 |
| 1% | 大量の汗、のどの渇き |
| 2% | 強い渇き、めまい、吐き気、ぼんやりする、重苦しい、食欲減退、血液濃縮、尿量減少、血液濃度上昇3%を超えると、汗が出なくなる |
| 4% | 全身脱力感、動きの鈍り、皮膚の紅潮化、いらいらする、疲労および嗜眠、感情鈍麻、吐き気、感情の不安定(精神不安定)、無関心 |
| 6% | 手足のふるえ、ふらつき、熱性抑鬱症、混迷、頭痛、熱性こんぱい、体温上昇、脈拍・呼吸の上昇 |
| 8% | 幻覚、呼吸困難、めまい、チアノーゼ、言語不明瞭、疲労増加、精神錯乱 |
| 10~12% | 筋痙攣、ロンベルグ徴候(閉眼で平衡失調)、失神、舌の膨張、譜妄および興奮状態、不眠、循環不全、血液濃縮および血液減少、腎機能不全 |
| 15~17% | 皮膚がしなびてくる、飲み込み困難(嚥下不能)、目の前が暗くなる、目がくぼむ、排尿痛、聴力損失、皮膚の感覚鈍化、舌がしびれる、眼瞼硬直 |
| 18% | 皮膚のひび割れ、尿生成の停止 |
| 20%以上 | 生命の危機、死亡 |
のどの渇きを感じたときは体内の1%の水分を喪失
私たちの体の約半分は水です。たとえ食べ物がなかったとしても水さえ飲んでいれば2~3週間は生きていられますが、水を一滴も摂らなければ4~5日で死に至る危険性があると言われています。
体内の水分が足りなくなることを「脱水」と言います。体は水不足に敏感で、水が1%減ると、のどの強い渇きを感じます。水不足が進んで水分損失率が2%になると、のどの渇きが強くなり、めまいや吐き気などが起こります。水が足りなければ体温を調節する汗が出にくくなります。そのため4%の水が失われると皮膚の紅潮、疲労感、脱力感、吐き気などの症状が現れ、6%に進むと体温上昇、頭痛、脈拍・呼吸数の上昇、ふらつきなどが起こります。水分損失率が8%になると幻覚、呼吸困難、チアノーゼ、精神錯乱などの危機的状況に陥り、20%以上では死に至ります。
水分が不足すると水のめぐりが悪くなります。それにより、排出がスムーズにできなくなると、余分な水分や老廃物が体に溜まり、病気の原因にもなります。
体の水分が不足する
↓
脳が「水を外に出すな」と体に指令を出す
↓
発汗・排尿を減らす
↓
老廃物が溜まる
↓
むくみ・不調・病気
体の水分が減ってくると水の入れ替えが滞り……
生命活動で生じる老廃物の排出には水が欠かせません。私たちは毎日約2.5Lの水分を排出し、失った水分を補給しています。
水には、老廃物の排出以外にも血流の促進、細胞の活性化、体温調整といった重要な役割があります。そこで体内の水分が減ってくると、脳は「水を体外に出すな」と指令を出すため、水の入れ替え作業が滞ります。水分の減少を防ぐために汗をかかないようになり、排尿の回数や量が減れば、体内には老廃物が溜まります。そうなると内臓などの働きが低下し、さまざまな不調や病気を引き起こします。また、水不足になると血液の循環も悪くなり、体や顔がむくみます。前述したように、脱水症状はのどの渇きからはじまります。
体の不調や病気を防ぐためにも脱水のサインを見逃さず、失った水分は必ず補給しましよう。